みちこの幕末日記

   世に生を得るは事を成すにあり。

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おめでとうございます!
山本三郎さまが出版なさいました。
題名は、「仙台藩士幕末渡米記」です。
定価2100円(税別)

お問い合わせは出版社「荒蝦夷(あらえみし)」までお願い致します。
電話022-298-8455

題名にある仙台藩士とは、みなさま、ご存じの玉蟲左太夫のことです。
山本さまは、ご子孫にあたられます。
星先生が解説を書いておられます。
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150年後子孫が現代語訳出版西洋文明克明に記録

出版した本を手に、玉蟲の魅力を語る山本さん 幕末の動乱期、幕府使節団の一員として渡米した仙台藩士・玉蟲左太夫が記録した、「航米日録」の全文を現代語訳した「仙台藩士幕末世界一周」が出版された。翻訳したのは玉蟲から5代目の子孫にあたる仙台市の山本三郎さん(74)。玉蟲は武士の常識にとらわれず、民主主義の理念をくみ取り、西洋文明を詳細に記録。今年は渡米から150年後にあたり、山本さんは「幕府使節団や玉蟲のことを若い人にも知ってほしい」と話している。

◆咸臨丸が随行

 玉蟲は1860年1月に日本を立ち、日米修好通商条約の批准書交換のため、幕府正使が乗ったポーハタン号の一員として渡米。勝海舟らが乗った随行艦が咸臨丸だった。一行はニューヨークで10万人の市民から大歓迎を受けるなどして、アフリカ、インド洋を巡り、同年9月に帰国した。

 航米日録は全8巻あり、出発から帰国までを記録した7巻までは、正式な記録として仙台藩に献上された。8巻は個人的な感想が記され、当時の体制を批判する意見も書かれている。

 翻訳本は1~7巻を巻ごとに章立てし、時系列で紹介。8巻は「三郎のひと言」として、関連個所に山本さんの解説付きで挿入した。

 玉蟲は太平洋を渡る途上、アメリカ人の艦長が水夫と一緒に嵐に立ち向かい、すぐに全員に報奨金を出したことに感銘を受け、「このようであるから、一旦(いったん)緩急の時には全員が身を忘れて力を尽くすのだ。この国が盛んな理由も、こんなところにあるのであろう」と記した。病死した水夫のため涙を流す艦長に対し、自国は「上下の情は誠に薄く、彼らに対して恥ずかしい」と封建体制に批判的な意見も明かしている。

 西洋文明への関心は高く、蒸気機関や汽車には特に興味を示した。水洗トイレやシャワー、洗濯機などについても使用法や仕組みを観察、克明に記録。料理にも触れ、ビールは「苦味なれども口を湿するに足る」と感想を残した。

◆列強に警戒感

 一方、当時、アジア進出を目指す列強への警戒感もにじむ。ハワイで会った中国人の薬商からは、英国人について「野蛮人で虎やオオカミに等しく、心は残忍で聖道とは全く相反している」と聞かされた。サンフランシスコでは友人が現地の中国人から聞いた話として「米国は最初は親切だが、用心しなければいけない」との助言が紹介されている。

 「玉蟲は武士階級を超えたやわらかい頭で客観的に物事をとらえ、幕府や薩長ではなく日本ということを意識していた。坂本龍馬と同時代に、そういう傑物が仙台にいたことを知ってほしい」と山本さんは話す。

◇玉蟲左太夫 

 1823年に仙台藩士の家に生まれたが、脱藩して江戸に。57年蝦夷(えぞ)地と呼ばれた北海道や樺太を巡行、気候や風土、アイヌの生活様式などを「入北記」にまとめた。渡米後は再び仙台藩士に取り立てられ、戊辰戦争では奥羽越列藩同盟の結成に尽力し、その後、責任を問われて69年、切腹した。

(2010年9月7日 読売新聞から転記しました。)

One Response to 「仙台藩士幕末渡米記」

  • 定年後山梨県小淵沢に移り住みましたが、お隣、長野県富士見町の図書館で偶々この「仙台藩士 幕末世界一周」を見つけ読みました。坂本龍馬がもてはやされる昨今ですが、当時仙台に玉蟲左太夫のような侍が居たことを始めて知りました。五日市憲法草案の作者千葉卓三郎が彼の弟子だったことも然もありなんと思うと同時に、彼のことはもっと広く知られて然るべきと思わないではいられません。玄孫であられる山本三郎氏の労役に深い尊敬の念を抱きます。読了後、小生のブログにこの本を紹介する記事を書き、そのことをテニス仲間の前で披露したのですが、何とその中のお一人が図書館に推奨して購入して貰ったと言うのです。その方は著者の山本氏と学校は違うものの、庭球部仲間であるそうです。本の496頁の五日市憲法の引用文中「七十七条」が「七十六条」となっているのを、誰かが遠慮がちに鉛筆で訂正してあったのを見て、何方がお書きになったのか不思議に思っていましたが、その謎も解けたという訳です。山本氏に、小生のブログ「小淵沢発 新米田舎暮らし」の本に関する記事2編を覗いて頂ければ幸いです。

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