みちこの幕末日記

   世に生を得るは事を成すにあり。

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「幕臣たちの誤算」、感想文です。

幕末の人物像の集大成と言える本です。人間関係を簡明に見事に描き切っている作品だと思いました。何度読んでも、面白く読めます。幕末の教本の一冊ではないでしょうか。

文中にある「いかに優れた幕臣がいても、指導者に強力なリーダーシップがなければ、改革を推進していくことはできない。そのリーダーに目された人物が十五代将軍、徳川慶喜であった。」は、真にその通りだと思います。リスクを取る指導者が現れなかったことが幕府滅亡の要因ですが、命乞いをする慶喜の醜態は私には理解できませんね。将軍職に就く段階で、覚悟を決める必要があったでしょう。それだけに、慶喜は信用のおける人物ではないと思います。

しかし、幕臣たちは頑張りました。
小栗上野介や阿部正弘らはリスクを被りました。
海舟はリスクを取る代わりに、西郷を後ろ盾にして上手な世渡りを実践しました。福沢諭吉は、政治の世界には白けた表情を向けてわが道をいきました。残念ながら、薩長と比べてリスクを被ったリーダーは幕臣には少なかったように思います。

星先生は、慶喜の評価は分かれる所としていますが、
この期に及んでも彼がリスクを被らなかったことは、徳川宗家の管理者として、
また人間として失格です。
この本を読んで、こんな具合にいろいろと考えてしまいました。
面白い本です。
みなさんも、お読みになって下さいね。

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