Monthly Archives: 7月 2014
写真の猫は、絶滅危惧種の「対馬ヤマネコ」です。丸太の上に後ろ向きに座っていました。わずらわしい様子の彼氏に声をかけ、お願いをしながら前を向いてくれるまで粘り通しました。一見して、どこにでもいるような猫に見えますが、野生ではもう100頭前 後しか生存していないそうです。毛の文様が独特で尻尾が太く短足で飼い猫とは違っています。表示板の説明によると、「 太古の昔、対馬は大陸とは陸続きでした。その後、大陸から分離され、島に残る生き物たちは独自の生態系を築いてきた」ということです。対馬テンも道すがら偶然見つけました。イタチ科の国指定天然記念物だそうです。道路がけもの道を遮断するために交通事故死が多く、地元の方は保護に頭を悩まされておられます。最近では、道路の下を横断するように獣用の通路マンホールを造り事故を防ぐことをしておられました。
作家の星亮一先生とご一緒に、研究会のみなさんと連れだって対馬に行って参りました。
そこは「国防の最前線 国境の島」です。
この島の歴史的な意味合いは一言では言えないほどに重要です。もし「対馬」がなければ、我が祖国日本は存在していなかったかもしれないのです。別の見方をするならば、今とは違って中国伝統様式の日本ができあがっていたかもしれません。それほどまでに、戦略上重要な位置を占める島なのです。
古代、大和朝廷は白村江の戦いで大敗したことはご存知の通りです。朝鮮半島での足掛かりを失ってしまいます。人的資源に恵まれた唐のことです。大和朝廷軍を追って内地に攻め込んできたかもしれません。しかし、唐・新羅連合軍は後を追っては来ませんでした。なぜでしょう。やはり「対馬」の存在です。さしずめ、最前線の出城です。元寇の役、秀吉の朝鮮出兵、日露戦争を通じ、対馬は軍事上の要衝として、最前線を占める地理的に特異な位置にあって防人としての役割を果たしたのです。この島は、福岡からジェットフェリーで2時間15分かかります。韓国・釜山からは約1時間の距離です。安全保障上の要衝の地ですから、海空の自衛隊基地、高性能レーダー基地が鉄壁の守りを固めています。北朝鮮の工作船も近ずけません。
堅苦しいお話はここまでにいたしましょう。
それでは皆様とご一緒に対馬観光に出発です。
地図で見ると対馬はニュージーランドに似た形をしています。南北に約80キロ、幅が15キロほどです。東京23区より大きいということです。島の中央にある烏帽子岳(えぼしだけ)から望んだ浅茅湾(あそうわん)の大パノラマ写真をご覧ください。雄大なリアル式海岸と九十九島には見とれてしまいました。写真の視野は狭く、その一部しか写せていないのが残念です。写真の背後には気象条件が良ければ釜山が見えます。
先のフェリー事故の際、海上保安庁基地からいつでも緊急出動できるように機材を携えて人員が待機していたものの韓国から救助要請が来ず、残念だったと言っておられました。